治療の必要性、ケアについて

ターナー女性には他の小児に比べて発生しやすい医学的問題がいくつかあるため、小児内分泌科医(小児の成長・ホルモンの問題を専門的に扱う医師)など、ターナー症候群に詳しい医師から医学的ケアを受ける必要があります。しかし、ターナー女性の中にも重大な問題がみられない方もたくさんいます。ターナー女性に最も多い医学的問題は、心臓、甲状腺、腎臓などの疾患です。早期発見できるよう、定期的に健康診断を受けることをお勧めします。

1)女性ホルモン補充療法の必要性について

足りない女性ホルモンは薬剤によって補充することができます。ターナー女性の成長の様子やターナー女性がどの程度の性的発達を望むのかにもよりますが、15歳前後に治療を開始する医師が多いようです。低用量のエストロゲン投与により、乳房発達の過程が始まり、恥毛の生育がみられます。1~3年の間にエストロゲンの用量を増量し、それから月経が始まるようプロゲステロンを加えます。ホルモン補充を受けている女性の性的機能は正常です。ターナー女性も他の女性と同じように健康的で満たされた性生活を送ることが期待できます。

2)体重コントロール

ターナー女性の中には肥満の傾向が認められる方もいます。背が低く太り気味だと人目を引きやすく、からかわれたり自分に自信が持てなくなったりします。肥満は高血圧や糖尿病の原因になりますから、こうした問題の危険性が高いターナー女性は健康な体重を維持する必要があります。

体重コントロールには食事と運動が重要です。医師や看護師から体によい食事や運動のプログラムを勧めてもらうこともできますし、栄養士を紹介してもらってカウンセリングを受ける方法もあります。年齢が低ければ、子どものうちからよい食事と運動の習慣が身につくよう指導します。

3)知能および学業

以前にはターナー女性の多くが精神的に遅れているという報告がありましたが、そうではないことが確認されています。ターナー女性も他の人と同様に知能には個人差があります。

知能検査で言語能力は平均または平均以上なのに、非言語能力は平均を下回るというターナー女性がいます。ターナー女性には、二つ以上の物体の相互関係を把握するのが苦手だという方が時々います。このため算数や方向感覚、手先の器用さに問題がみられます。こうした問題は特殊な学習障害であって、精神的に遅れていたり知能が平均より低いというわけではありません。

学業に不安がある場合は、心理検査を行います。学習障害がある場合は、学校での勉強が遅れたり問題が発生する以前に、適切な学習活動や教育戦略の計画を立て実施します。

家族や教師は「自己暗示」という落とし穴を避けなければいけません。ターナー女性の多くは学習障害がありませんが、自分が期待されていないと思うと全力を尽くさなくなります。親や教師は学習に問題がないか気をつけながらターナー女性にも他の子と同レベルの学力を期待することが必要です。

他の子と違って目立つ子どもにとって学校はストレスがたまりがちなところです。ターナー女性は、体の大きさや外見の特徴が原因で学校で問題が起こりやすくなる可能性があります。こうした問題がなるべく起こらないようにする方法として、親が学年のはじめに教師に会い、娘の状態を簡単に説明し、学校の職員に起こりそうな問題やストレスに注意するよう依頼するのもよいでしょう。教師は学習に問題が起こっていないか、身長が低いからという理由で不当に扱われていないか注意します。

4)社会精神的問題

どんな子も大人になるのは大変なことですが、身長や見かけが違う子は他の子よりさらに問題が多くなる可能性があります。ターナー女性は人前を気にし、困難に直面した時に困り、自分に自信が持てなくて悩むことがあります。ご両親や兄弟、親戚の関わり方が、ターナー女性の強い自我や自信を育てるのに重要な役割を果たします。ご両親はご自分の子どもがターナー症候群だと知った時、怒りや罪悪感、絶望を感じるかもしれません。子どもを過保護にしたり外界から隠したりしがちになるかもしれませんが、いずれは子どもの長所や能力を受け入れ、認識するようになるはずです。親が子どもにしてやれる最も重要なことは、子どもをあるがままに受け入れることと、愛することの二つです。

5)役立つヒント

家庭での物理的な環境を子どもにとってできるだけ快適なものにします。鏡やクロゼットの高さを低くし、家中に安定した足台を配置しておくと便利です。

社会的技術の習得を手助けします。レストランで食べ物を注文するとか、デパートで手助けを求めるとかの簡単なことでも、どうするのかはっきり知らなければ戸惑います。家庭で練習させたり、同じ状況で大人がどう振舞うのかをみせたりして、こうした状況に備えさせます。

家庭で何かに責任を持たせます。背が低いからといって家事や仕事の分担を免除してはいけません。

体の大きさではなく年齢にあった身なりをさせることが大切です。このため服に手を加えたり縫ったりしなければならなくなることもあります。大きくなってきたら、バストを強調しウエストや首を目立たせなくするスタイル(重ね着ルックやプリンセススタイルのドレス)がよく映えます。

人と競える技術を身につけるよう励まします。特殊な技術を身につけ、他人と一緒に作業したり遊んだりすることを学べる活動がたくさんあります。音楽、劇、ダンス、ガールスカウト、スポーツなどはほんの一例です。

ターナー女性は成長につれ自分の性について悩むようになります。

卵巣は未発達でもあらゆる意味で女性なのだということをはっきり自覚させます。10代の女の子が誰でも成長の過程で経験するような感情や戸惑いを経験します。男の子とデートしたいと思っても、自分が他の女の子と「違う」という気持ちから不安になることもあります。自分の状況について、いつ誰とどのように話し合いたいのかをはっきりさせることが大切です。若いターナー女性にとって自分が妊娠できないことを受け入れるのは難しいことかもしれません。親や信頼できる大人と話すことは、10代や若い女性にとって自分を受け入れ、正しい選択をする手助けとなります。専門家のカウンセリングを受けることや他のターナー女性と接触することも力になるでしょう。地域によってはターナー女性を支援するサポートグループの活動が盛んです。診療を受けている医師や看護師ならまわりにそうしたグループがあるかどうか知っているはずです。近くにサポートグループがない場合は、医師や看護師の力を借りて自分がそうしたグループをつくることも考えてみてください。

きちんとした医学的・心理的ケアがあり、友人や家族の精神的サポートがあれば、ターナー女性も健康で満たされた人生を送ることが期待できます。

監修:大阪市立大学医学部附属病院小児科・新生児科藤田敬之助先生

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