ターナー女性の身体的特徴

ヘンリー・ターナー博士は、身長が低い、性的発達がない、外反肘(がいはんちゅう:腕が肘のところでわずかに外側に向いている)、翼状頸(よくじょうけい:首の周りに皮膚のたるみがある)、背中側の髪の生え際が低い女子の特徴を一つの症候群として捉えました。彼は1938年にこのような特徴を持つ7人の女子について論文を発表しました。

それから21年後、フォード博士はターナー症候群の原因が性染色体の欠失であることをつきとめました。ほとんどのターナー女性は一方のX染色体が全てまたは部分的に欠けていることを発見し、この染色体の欠失がターナー女性にみられる身体的特徴の原因ではないかと考えました。
ターナー女性にみられる特徴の一つに卵巣(卵子が貯蔵されている女性器官、性腺とも呼ばれる)の未発達があるため、ターナー症候群を性腺発育不全症と呼ぶ医師もいます。
ターナー症候群は遺伝子に問題のあるものの中では比較的よくみられるものの一つで、2,000~2,500人(女子)に1人の割合です。

ターナー女性に特有の特徴は数多くあります。一人の女性に全ての特徴が現れることはあまりなく、いくつかみられる程度です。ターナー女性をひとくくりにして捉えるのではなく、個人として尊重していくことが重要です。
ここからはターナー女性に特有の多くの特徴や医学的問題についてその意味や治療法を紹介します。数多くの特徴を取り上げますが、多くのターナー女性はこのうちいくつかの特徴がみられる程度で、普通の女性と変わりなく生活することができます。

  1. 1)成長
  2. 2)ターナー女性の成長曲線
  3. 3)その他の身体的特徴
  4. 4)思春期のターナー女性の特徴

1)成長

低身長はターナー症候群に最もよくみられる特徴です。ターナー女性は生まれた時から少し小さいのが一般的です。女子新生児の平均身長は51cmですが、ターナー女性は47cm未満ということがよくあります。ターナー女性は出生後の成長が少し遅いため、だんだん同年齢の女子との身長の開きが出てきます。通常、治療を受けないターナー女性は思春期の成長スパートがなく、20代までゆっくり成長を続けます。

2)ターナー女性の成長曲線

成長曲線 成長曲線は子どもの身長を同性・同年齢の子どもと比較する時に使います。下の成長曲線はターナー女性とそうでない女子の身長範囲を示しています。SD注)は標準偏差を表します。
赤い線の一番上と一番下の間は大部分の女子(約95%)の身長範囲を示しています。黒い線の一番上と一番下の間は大部分の治療を受けていないターナー女性(約95%)の身長範囲を示しています。
成長曲線の使い方 曲線の横軸に子どもの年齢をみつけ、そこに垂直な線を引きます。曲線の縦軸に子どもの身長(cm)をみつけ、そこに水平な線を引きます。2つの線が交わった点の位置で平均値からどれくらい離れているかが分かります。
Aさんは8歳のターナー女性で、身長は115.5cmです(成長曲線のA点)。Aさんの身長は通常の女子の成長曲線の-2SDの線付近を上回っており、同年齢の女子の標準身長の約5%より背が高いことを意味しています。Aさんの身長はターナー女性の成長曲線では+2SDの線付近にあり、8歳のターナー女性の約95%より背が高いことを示しています。

成長ホルモンの投与を受けなかった成人ターナー女性の平均身長は138cmですが、150cmに達する女性もわずかにいます。親の身長が成人時の身長を左右し、親の身長が高いターナー女性は、親の身長が低いターナー女性より身長が高くなります。
ターナー女性が低身長である理由ははっきりしていませんが、大きな原因の一つは骨が十分に成長しないことです。成長ホルモンが不足しているターナー女性がいることも明らかになっています。また、過去10年間、成長ホルモン治療により成人時の身長が平均約8cm伸びることが確かめられています。
アンドロゲン(男性ホルモン)は思春期にみられる成長スパートを促すのに重要な役割を果たします。思春期の男子は大量のアンドロゲンを産生しますが、通常、思春期の女子もアンドロゲンを産生します。ターナー女性の成長を促進するため、アンドロゲンを成長ホルモンと併せて使用することがあります。少量のアンドロゲンで副作用を起こすことなく成長を促進することができます。アンドロゲン療法の欠点は骨の成熟を加速して成長の停止を早めることがあることです。成長ホルモン療法(または成長ホルモン+アンドロゲンの投与)を受けている間は、成長や骨の成熟の状態を調べ、治療による副作用の徴候がないかチェックするため、3~4ヵ月ごとに通院し、細かくフォローアップを受ける必要があります(主治医の指示に従ってください)。

注)SD(標準偏差)とは統計学で使われる言葉で、この場合は、子どもの身長が同性同年齢の子どもの平均値よりどれだけ離れているかという幅を表しています。通常、「-2SD」以下の身長の場合が低身長とされています。お子さんの身長に対応するSD値は標準成長曲線に身長を記録することで確認することができます。

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3)その他の身体的特徴

あるターナー女性では非常に目立つ特徴が別のターナー女性ではほとんどわからないということがあります。多くのターナー女性はこの特異的な特徴のうちいくつかがみられる程度で、全くみられないターナー女性もいます。以下にあげるのはターナー女性によくみられる特徴の一部です。

  • 出生時のリンパ浮腫(手足のむくみ)
  • 胸が広く乳首が離れている
  • 翼状頸(よくじょうけい:首の周りに皮膚のたるみがある)
  • 耳が突出している
  • 首の後ろの髪の生え際が低い
  • 小顎症(しょうがくしょう:顎が小さい)
  • 口蓋(こうがい:口腔の屋根)が狭くてアーチが高い
  • 外反肘(がいはんちゅう:腕が肘のところでわずかに外側に向いている)
  • 指の爪が柔らかく端が反り上がっている
  • 指が短い(特に薬指と小指)
  • 色素性母斑(皮膚の小さい褐色のあざ)

これらの特徴の中にはほとんどわからないものもありますが、ターナー女性にとって自意識過剰や悩みの種になるものもあります。しかし美容上の問題の多くは形成外科手術によって改善することができます。また、特徴が目立たないよう化粧や服装を工夫するとよいでしょう。

ターナー女性にみられる足の浮腫
東京都立小児総合医療センター
内分泌・代謝科 部長 長谷川 行洋 先生

4)思春期のターナー女性の特徴

思春期に性的発達がない(乳房の発達や女性らしい体つき、月経がみられない)ことはターナー女性のもう一つの大きな特徴です。ターナー女性の5~10%は10~12歳の時に乳房発達の徴候がある程度みられますが、通常、発達が思春期終了まで続くことはありません。モザイク注)のターナー女性は治療しなくても性的発達の徴候がみられますが、完全な発達を遂げたり初潮を迎えたりすることはあまりありません。10~12歳になると副腎で正常量のアンドロゲンが産生されるため、治療しなくてもまばらながら恥毛や腋毛がみられることがあります。
多くのターナー女性では卵巣(女性ホルモンおよび卵子を産生する女性器官)が十分に発達しないため性的成熟がみられません。卵巣の主な機能は二つで、一つは女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンを産生すること、もう一つは卵子を貯蔵し月経が始まったら定期的に放出することです。卵巣がエストロゲンやプロゲステロンを産生しない場合、薬剤によってこれらのホルモンを補充しない限り性的発達はみられません。卵巣の発達が不十分だと卵子がほとんどまたは全く貯蔵されないため、通常、子どもを身ごもることはできません。ターナー女性の5~10%はある程度自然に乳房の発達がみられますが、月経がみられるのはわずか1%、子どもを身ごもることができるのは1%未満です。その他の女性生殖器(卵管、子宮、膣または産道)は正常に機能します。

注)ターナー症候群は受精前または受精前後に一方のX染色体が全てまたは部分的に欠けるために起こります。ターナー女性の約半数は一方のX染色体が全くありません。すなわち、体の細胞に通常なら46本ある染色体が45本しかないのです。ターナー女性の約20%には、染色体が46本ある細胞とX染色体が1本欠けている細胞がある場合があります。これはモザイクと呼ばれ、はっきり診断することが難しいことがあります。モザイクの女子は、X染色体がまるまる1本欠けている女子ほどターナー症候群の特徴が現れません。

思春期のターナー女性の特徴

  1. ①胸がふくらみにくい
  2. ②女性らしい体つきになりにくい
  3. ③性器が発達しにくく、月経が起こりにくい
  4. ④身長が伸びにくい

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